宮本 延春 (1996年度大学奨学生) 『オール1の落ちこぼれ、教師になる』
みなさんこんにちは、私は愛知県にある豊川高校で教師をしています。毎日生徒と向き合い、それぞれの子供達が、その人でなければたどり着けない自分だけの未来へ、力強く進んでくれることを願い、応援しながら共に成長しようと励んでいます。大学在学中には本当にお世話になりました。奨学生として選ばれなかったら、あの充実した大学生活は得られなかったと感謝の念で一杯です。私は、母を十六歳で亡くし、父を十八歳で亡くしています。兄弟も親戚付き合いもない私は、まさに天涯孤独となりました。中学生の頃の成績はほとんどオール1、卒業時の学力は、数学は九九が二の段までしかいえない、国語は自分の名前しか漢字で書けない、英語は知っている単語がbookのみという筋金入りの落ちこぼれでした。当然、進学できる高校はなく職業訓練校を経て大工として働き始めました。その後、紆余曲折した道を辿り、二十四歳で夜間定時制高校へ、二十七歳で名古屋大学へと進み、伊藤謝恩育英財団のお陰で現在があります。心より感謝申し上げます。
現在/私立豊川高等学校教諭
池上 薫 (1998年度大学奨学生) 『近況報告』
早いもので、大学を卒業してから7年が経ちました。大学時代は、「大学生活の中心はゼミ」というモットーに惹かれ、行政法に関する事例研究を原告側と被告側に分かれて行ってきました。週に1度のゼミのために、毎日のように同期と準備を行ってきたほか、春休みや夏休みには合宿の運営やゼミ通信の発行など、まさに「大学生活の中心はゼミ」といえる生活を送ってきました。ゼミ生活を共に過ごした仲間とは、今でも交友が続いており、一生の友人を得ることができました。経済的な心配なく、ゼミ中心の大学生活を送ることができたのは、貴財団のご支援のおかげであり、大変感謝しております。現在、日本弁護士連合会に勤務し、今年の7月から全国の弁護士会の会則・会規の点検作業を主とする仕事をしています。法律の制定や改正時のルールは大学時代に学んだことがなかったため、大変新鮮で、興味深いです。法制執務に関する書籍を片手に必死に勉強する毎日ですが、充実した毎日を過ごしております。これからも謝恩の心を忘れることなく、充実した社会人生活を送っていきたいと思っています。
現在/日本弁護士連合会企画部
菊地 進一 (1998年度大学院修士) 『北京にて』
今、オリンピックの開催されている北京に遊びに来ています。夜景がとてもきれいでエキサイティングです。私は修士の2年間財団にお世話になりました。友人が社会人になっていく中、初任給並みの給付額がやけに誇らしかったのを覚えています。ただ当時はこの額がもつ本当の意味を理解できていなかった気がします。というのも以前、偶然にも研究室の若手スタッフに財団OBが3人も在籍していたことがあります。このような人間の絆、運命への投資を感じるにつれ、今、謝恩という言葉は正直重いです。OB会に欠席の返信をするときなど、いつも考えさせられます。一方で、学生に囲まれる職場で既に行動規範の1つになっていて、OBとして少しずつ成長している自分に驚かされることもあります。私はありがたいことに10年前の願書の通り、大学の教員として知能の研究をする機会に恵まれました。我が慶應もOBの結束により、150年の歴史を重ねてきた学校です(自分もついに18年目!)。半学半教、継続は力なり。謝恩の響きに通じる気がします。
現在/慶應義塾大学 環境情報学部専任講師
山下 契 (2000年度大学奨学生)『国際協力という仕事』
4月、西アフリカのニジェールに出張しました。日本がニジェール教育省と協力して実施している中学校教員の教授能力強化を目指すプロジェクトの成果を評価することが目的です。視察した授業では、実験やグループワークが行われ、先生は生徒の興味を引き出す工夫をしていました。日本では普通の理科の授業風景ですが、ここでは革新的です。先生の大半が十分な知識を持たず、教授法について学んだことがないこの国では、教科書をひたすら板書することが先生の仕事だったのです。こうした授業では生徒の興味や能力を引き出すことはできず、特に理数科目の学習達成度の低さが課題となっていました。教育の改善を目指すニジェール政府の要請を受けて開始されたこのプロジェクトでは、「生徒中心の授業」「教員同士の学びあい」「教員の継続的な能力強化」など日本の経験や知見を活かしながら教員研修を実施しており、研修に参加した教員の授業が改善されつつあることが確認されています。視察した教室は、教育の現場としての熱気に溢れ、45度という気温以上に熱く感じました。私は現在、アフリカに対する教育分野の国際協力事業を担当しています。より良い教育を受けた子どもたちが、より良い明日を手にし、ひとりひとりのより良い明日が世界の平和につながっていくことを願いつつ、日々の業務に取り組んでいます。
現在/独立行政法人国際協力機構(JICA)人間開発部
間庭 沙美良 (2000年度大学奨学生) 「社会人生活4年目を迎えて」
大学を卒業してから早4年、社会人としての生活にも慣れてまいりました。学生時代は、財団のご支援のもと、本当に充実した学生生活を送ることができ、また夢だった英語教員免許を取得することもできました。現在は、国際ビジネスの現場に通訳翻訳などの語学サービスを提供する企業で、正社員として働いています。一緒にお仕事をしている先輩社員や上司の方なども、皆それぞれ国籍や年齢も様々に異なった個性的な方たちばかりですが、サービスの品質向上と会社としての成長を目指し、全社員が一丸となって熱心に業務に取り組んでいます。また年齢の若い方でも、能力と意欲があれば重要なポストについて仕事をすることもでき、非常にやりがいのある職場だと思います。社内の上下関係はあまり厳しくはなく、年齢、性別、ポストを問わず社員全員が仲良く和気あいあいとした雰囲気の中で楽しくお仕事をさせていただいています。将来の夢や目標は沢山ありますが、まずは今の会社により貢献できるような社員として成長することを一番の目標とし、これからも頑張っていきたいと考えております。
現在/株式会社グローヴァ(GLOVA)
吉田 崇朗 (2003年度大学奨学生) 『質の高い時間を目指して』
「全て限られた時間の中での教えの高さだ」これは実習中に教えていただいた、私にとって大切な言葉です。“1校時45分”という時間の質を高めるため、必要なのは子どもたちのための努力、このような意味だと受けとめています。思えばこんなに時間で細かく区切られた職業も珍しいですよね。チャイムが鳴ったら、何と言おうとその授業は終わりです。「もう一度」はありません。10分休みがあって、また次の45分。これは一種の劇というかコントを一日に何度も子どもたちとやっている感じです。大阪ですから、子どもも「笑い」が大好きですしね。より質の高い時間にするため、教室の空気を自分の所へ引き込む様な話術・動作・表情の一層の上達が私の課題です。大阪教育大学を卒業するまで、サッカー、バドミントンとスポーツに心を燃やし続けた青春の日々。まさに汗と涙の結晶。人間としての“深み”を得ました。心にはいつも青春の気概を持ち、一歩一歩、これからも進んでいきます。「一隅を照らす」思いを胸に。
現在/堺市立鳳小学校教諭

