「順境に驕らず、逆境に怯まず、エンジニアとしての強い使命感を持ち、待ち受ける困難に取り組んでいくことを、ここに決意いたします」そう結んだ大学院修了式の答辞から、早7年近くが経とうとしています。
答辞で決意したエンジニアとしての矜持を発揮する場面は終ぞなく、現職ではフライト・ディスパッチャーと呼ばれる、航空機の飛行計画・運航管理を行う国家資格者として働いています。本社での勤務時は数百便を日夜サポートし、現ヒースロー空港ではより現場に近いところで運航に奮闘する毎日です。
一方、答辞のうち未来を予見していたのは「逆境」の部分のようで、ここ数年は国内外へのフライトも激減、一時は仕事の意味を見失いかけることもありました。逆境に怯まず、という言葉の重みは自身にとって予想以上でしたが、同時に人生を支えるものであったと感じます。今こうして国境が再び開き、日々満席のお客様を迎え、そして自身が世界を飛び回ることができるのは、何にも代えがたい喜びです。
特にここ数年の奨学生・卒業/修了生の皆さんは、海外から遠ざかっていた方も少なくないでしょう。旅行、留学、研究、在住、さまざまなスタイルでそれぞれの世界を見てみてください。少し不協和音も聞こえる今の世界に、自己の視点を持つことができるのは素晴らしいことだと思います。